光回線のベストエフォート型とは? ギャランティ型との違いや注意点を詳しく解説!

インターネット回線には、ベストエフォート型やギャランティ型など、複数のタイプがあります。ベストエフォート型はリーズナブルな料金であり、コストを抑制できるものの、通信速度が保証されません。各タイプの特徴を正確に把握し、自社に適した回線を選定しましょう。

本記事では、ベストエフォート型のインターネット回線サービスに関して解説し、ギャランティ型との違いや、回線サービスを選ぶ際の注意点もご紹介します。システム関係の部署で回線の選定を担当している方は、ぜひ参考にしてください。


ベストエフォート型のインターネット回線サービスとは

ベストエフォートとは、直訳すると「最大限の努力」を意味します。

ベストエフォート型のインターネット回線サービスとは、回線事業者が提示した最大通信速度を上限とし、最大限努力した速度でインターネットに接続するサービスです。

例えば、ベストエフォート型のサービスでは、「最大1Gbps」などと表示されていますが、技術規格上の最大通信速度である点にご留意ください。実際の通信速度は、回線の混み具合や、使用するケーブル・機器の種類・設定によって変動します。


ギャランティ型サービスとの違い

ギャランティ(guarantee)とは、「保証」という意味の英単語です。

ギャランティ型とは、通信速度やサービス品質が保証されたサービスです。「帯域保証型」と呼ばれることもあり、特定の通信速度を下回ることなく、安定した通信を提供することを目的としています。

ベストエフォート型とギャランティ型の主な違いを、以下で解説します。


通信速度

ベストエフォート型サービスでは通信速度が保証されないため、回線が混雑している場合は通信速度が低下する点にご留意ください。個人向けサービスではべストエフォート型が多いものの、法人向けサービスでは、ギャランティ型が選択される場合があります。

例えば、ベストエフォート型サービスを利用して動画配信サービスを提供する場合、顧客がスムーズに視聴できない可能性があります。ギャランティ型のサービスなら、一定の通信速度が保証されるので、顧客はストレスなく視聴できるでしょう。


料金

ギャランティ型のサービスでは専用の設備が必要なため、ベストエフォート型に比べて料金が高額な傾向があります。個人の場合は、通信速度が一時的に低下しても不都合が生じにくいため、費用が割安なベストエフォート型のサービスを選択することが多いです。

法人であっても、動画配信サービスなど、大量のデータをやり取りする事業者でなければ、ベストエフォート型でも対応可能です。

コスト面ではベストエフォート型のほうが有利なため、事業内容を踏まえて回線サービスの種類を選びましょう。


バースト型のサービスも存在する

バースト型とは、一定の通信速度までは保証されるものの、それ以上の通信速度に関してはベストエフォート型で運用されるサービスです。

ベストエフォート型の性質とギャランティ型の性質を兼ね備えているサービスで、料金は両者の中間程度です。「ある程度までは回線速度を確保したいけれども、コストも抑えたい」とお考えの場合は、バースト型を選択することも検討しましょう。


ベストエフォート型インターネット回線サービスを選ぶ際の注意点

通信速度の保証が不要で、ベストエフォート型を選ぶのであれば、事前に通信速度の実測値をチェックし、通信速度に影響をおよぼす要因も踏まえて選択しましょう。

通信速度の実測値

ベストエフォート型サービスの場合、ベンダーの公式サイトには、実測値ではなく、「最大速度」が基本的に表示されている点にご留意ください。公式サイトを閲覧するだけでは、実際にどの程度の通信速度が出るのかを把握できないため、SNSや口コミサイトなどで実測値に関する書き込みを確認しましょう。

なお、現在利用している回線に関しては、通信速度の計測サイトを利用することで実測値を知ることが可能です。

通信速度に影響をおよぼす要因

通信速度に影響をおよぼす要因は多種多様で、回線自体の問題ではなく、ネットワーク機器(ケーブル・ルーター・ONUなど)が原因で通信速度が低下するケースもあります。

例えば、古いケーブルを利用している場合は、ベストエフォート型サービスで表示される最大通信速度を出せない可能性があるため、最新製品への交換も検討しましょう。


IPoE方式の場合、ベストエフォート型でも混雑しにくい

ベストエフォート型では、回線の込み具合によって通信速度が変動し、混雑する時間帯には、通信速度が低下する場合があります。

ただし、インターネットに接続する方式がIPoE方式の場合は、ベストエフォート型でも混雑しにくい傾向が見受けられます。従来のインターネット接続方式であるPPPoE方式とは異なる通信網や通信設備を経由するため、スムーズに通信可能です。

以下、IPoE方式とPPPoE方式に関して詳しく説明します。


IPoE方式とは

IPoEとはIP over Ethernetの略称で、イーサネットを利用してIPパケットを伝送するインターネットの通信方式です。電話回線をイーサネットに対応させた従来の通信方式であるPPPoEとは異なり、専用の通信機器を必要としません。

インターネットサービスプロバイダーを介して、直接インターネットに接続できるため、回線の混雑に強く、より安定した通信ができるため、ビジネスでの利用に適しています。


PPPoE方式とは

PPPoEとはPoint-to-Point Protocol over Ethernetの略称で、IPoEと同様にインターネットへの接続方式のひとつです。

PPPoEはユーザー側にルーターやアダプターなどの通信機器を設置して、「ネットワーク終端装置(ONU)」を介して、インターネットに接続します。

インターネットへの接続時にはプロバイダーから受け取ったIDやパスワードが必要で、通信回線が混雑した場合、通信速度が低下しやすい点にご留意ください。


必要な通信速度の目安

どのくらいの通信速度を確保するべきなのかは、業務内容によって異なります。以下は、各業務を遂行するために必要とされる通信速度です。Webサイトやサービス・ツールによって差があるため、あくまでも目安として参考にしてください。

  • メールの送受信やチャットツールの利用(テキストのみ):500kbps以上
  • Webサイトの閲覧:1Mbps以上
  • 動画の視聴:3Mbps以上(高画質動画の場合は必要な通信速度の水準も上がる)
  • オンライン会議:10Mbps以上

なお、用途によって、データを送信(アップロード)する「上り速度」と、データを受信(ダウンロード)する「下り速度」の重要性は異なります。

例えば、メールの受信やWebサイトの閲覧なら下りの速度が重要ですが、オンライン会議の場合は上りと下りの両方が重要です。

自社の業務内容を踏まえて、上りおよび下りの通信速度が充分であるかどうかを確認しましょう。


ネットワークの構築なら、「IoT・エッジコンピューティング EXPO」へ!

RX Japanが主催する展示会「Japan IT Week」の「IoT・エッジコンピューティング EXPO」では、ベストエフォート型の回線サービスなどが多数展示されます。

インターネット回線サービスの選定・契約を担当する方は、ご来場の上、最新の情報を収集しましょう。また、ベストエフォート型の回線サービスなどを提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。



業務内容を踏まえてベストエフォート型にするかどうかを決めよう

ベストエフォート型の回線サービスは、ギャランティ型と比べるとリーズナブルな料金で、コスト抑制に役立ちます。ただし、通信回線を使用している環境に左右され、通信速度が保証されない点にご留意ください。

社内ネットワークの見直しをされる際には、業務内容を踏まえて、自社環境に最適な回線サービスを選択しましょう。

RX Japanが主催する展示会「Japan IT Week」の「IoT・エッジコンピューティング EXPO」では、ベストエフォート型の回線サービスなどが多数展示されます。インターネット回線サービスの選定・契約を担当する方は、ご来場の上、最新の情報を収集しましょう。また、ベストエフォート型の回線サービスなどを提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

 

「Japan IT Week」詳細はこちら


▶監修:大岩俊之氏

プロフィール:家電製品総合アドバイザー
理系出身の元営業マン。大学ではAI(人工知能)を学びITエンジニアとして就職し、のちに電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。