SIMとは?カードの種類や選び方、IoT機器との関係などを事業で使う方向けに解説
多くの企業が従業員向けのスマートフォンを保有・活用している昨今、「SIMカード」という単語を1度は見聞きした経験があるでしょう。
SIMカードは、スマートフォンやタブレットだけではなく、IoTデバイスで用いられる場合もあります。近年、IoTが注目され、各企業で導入に向けた取り組みが行われており、IoTを利用する際、固定回線の敷設ができない場面では SIMが欠かせません。
本記事では、産業・ビジネスで利用する方に向けて、SIMカードの種類やメリット・デメリット、選び方、eSIMとの違いを紹介します。SIMカードを挿し込めるIoTデバイスなどを用いる業務に携わる場合は、ぜひ参考にしてください。
SIMカードとは
SIMカードとは、モバイル通信サービスの加入者に関する情報(識別情報や電話番号)が記録されているカードです。SIMとは「Subscriber Identity Module」の略で、日本語では「加入者識別モジュール」と訳されます。
SIMカードは、モバイル通信機器(スマートフォンやタブレットなど)に挿し込んで使用されます。近年では、端末に部品として組み込まれたチップ型SIM(eSIM)が利用される事例も増加中です(詳細は後述)。
SIMカードの役割
SIMカードの役割は、デバイスで音声通話やデータ通信を可能にすることです。端末があっても、SIMカードがなければ、音声通話機能やデータ通信機能を利用できません。スマートフォンやタブレットの場合、SIMカードトレイにSIMカードを置き、筐体に挿し込んで使います。
SIMカードには、電話番号や契約に関する情報が記録されています。SIMカードさえ挿せば、規格に互換性がある端末なら、同じ電話番号での利用が可能です。
SIMカードのサイズ
モバイル端末の小型化に伴って、年々SIMカードのサイズが縮小してきました。2024年時点では、以下3種類のサイズのSIMカードが主に利用されています。
- 標準SIM(miniSIM):縦25mm×横15mmのSIMカード(1990年代後半に登場)
- microSIM:縦15mm×横12mmのSIMカード(2000年代に登場)
- nanoSIM:縦約12mm×横約9mm(2010年代に登場)
デバイスごとに対応しているサイズが異なるため、取扱説明書やメーカーの公式サイトなどで確認しましょう。
SIMカードの種類
SIMカードは、「音声通話に対応しているかどうか」という観点・切り口によって、2つの種類に大別されます。以下、各タイプに関して詳しく説明します。
音声通話機能があるSIMカード
音声通話機能があるSIMカードは「音声通話SIM」と呼ばれ、音声通話(電話)だけではなく、SMSの送受信やデータ通信にも対応しています。
スマートフォンでは、音声通話SIMが用いられることが一般的です。他方、タブレット端末やIoT機器など、音声通話を実施しないデバイスでは、音声通話機能がないSIMカードが用いられる場合が多いです。
音声通話機能がないSIMカード
音声通話機能がないSIMカードは、「データ通信のみに対応したタイプ」と「データ通信とSMSの送受信に対応したタイプ」に分類できます。なお、データ通信のみに対応したタイプは「データSIM」、データ通信とSMSの送受信に対応したタイプは「SMS SIM」と呼ばれます。
SMS SIMの場合、音声通話は不可能ですが、電話番号による2段階認証(SMS認証)が可能です。
SIMカードとeSIMの違い
通常のSIMカードは取り外しが可能で、取り外した状態では盗難されたり、紛失したりするリスクがあります。
近年、取り外しが不可能なeSIM(embedded Subscriber Identity Module)の活用事例が増加中です。本体の基板に組み込まれたチップ型のSIMであり、SIMを単体で盗難されたり、紛失したりするリスクがありません。
eSIMは、基板に直接実装されるため、量産しやすいことが特長です。また、カードタイプのSIMよりも温度変化や抜き挿しによる劣化が少なく、長期間使う場合に有利です。
また、遠隔で情報を書き換えることが可能なeSIM(eUICC SIM)も存在します。IoT機器を取り扱っていて、長期間交換せずに継続的に稼働させたい場合は、eUICC SIMを活用しましょう。
SIMフリーとは
SIMフリーとは、「SIMロック」がかかっていない状態のスマートフォン端末(どの通信業者のSIMでも利用できる端末)を意味します。SIMロックとは、指定されたSIM以外では使用できないように端末の動作を制限することです。
以前は多くの携帯電話会社で、契約者に「端末を割安な価格で入手できる」というメリットを提供する代わりに、他社への乗り換えを防ぐ目的でSIMロックが実施されました。しかし、2021年10月1日以降に新たに発売される携帯電話端末に関しては、正当な理由がない限り、SIMロックを設定せずに販売することが義務化されています。
SIMロック解除とは
SIMロック解除とは、端末にSIMロックがかかっている状態を解除することを意味します。解除された端末では、どのSIMカードでも動作が可能です。
2021年9月以前に発売された携帯電話端末に関しては、SIMロックが設定されているものがあります。また、携帯電話会社によって、申出がなくても一律でSIMロックを解除しているケースと、利用者の申出に応じて解除しているケースがあるため、中古端末を購入する場合は注意しましょう。
SIMカードはIoTデバイスでも用いられる場合がある
近年、スマートフォンやタブレットだけではなく、モバイルデータ通信に対応したIoTデバイスでも、SIMカードが用いられる場合があります。IoTデバイスでは、しばしば、データ通信のみが可能なチップ型SIMが選択されます。
従来、IoT機器はBluetooth接続やWi-Fi接続で通信するケースが多く見受けられました。しかし、移動体(公共交通機関など)や屋外(社会インフラや農業など)での活用が拡大したことに伴い、モバイルデータ通信で情報をやり取りする事例が増加中です。
自社の敷地内など、BluetoothやWi-Fiで接続できる範囲(10m~数百m程度)であれば、モバイルネットワークによる通信が不要な場合もあるでしょう。他方、遠隔地にセンサー・カメラなどを設置している場合は、モバイルデータ通信(LTEや5G)で情報をやり取りする必要があります。
SIMカードを用いてリアルタイムでデータが送信されてくる環境を構築すれば、現地に出向かずに状況を確認でき、業務効率化・コスト削減につながるでしょう。
「IoT・エッジコンピューティング EXPO」でSIMカードを用いるIoTデバイスなどを探そう
RX Japanが主催する展示会「Japan IT Week」の「IoT・エッジコンピューティング EXPO」では、SIMカードを用いるIoTデバイスなどが数多く展示されます。
SIMカードを用いるIoTデバイスの導入や運用に携わっている方は、ご来場の上、最新情報を収集してはいかがでしょうか。また、SIMカードを用いるIoTデバイスなどを開発・製造・販売している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。
SIMカードやIoTデバイスなどを活用して生産性を向上しよう
SIMカードは、スマートフォンやタブレット端末だけではなく、IoT機器でも使われる場合があります。SIMとはどのようなものなのかを正確に把握した上で、IoT機器を活用し、生産性向上を実現しましょう。
RX Japanが主催する展示会「Japan IT Week」の「IoT・エッジコンピューティング EXPO」では、SIMカードを用いるIoTデバイスなどが多数展示されます。SIMカードを用いるIoTデバイスの導入や運用に携わっている方は、ご来場の上、最新情報を収集しましょう。また、SIMカードを用いるIoTデバイスなどを開発・製造・販売している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
▶監修:大岩俊之氏
プロフィール:家電製品総合アドバイザー
理系出身の元営業マン。大学ではAI(人工知能)を学びITエンジニアとして就職し、のちに電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。