Web広告とは?種類・運用するメリット・課金方式・手順などを初心者向けに解説!
近年、インターネットの利用者が増加し、テレビCMなどのマス広告以外にWeb広告を活用して、幅広い消費者に自社の製品・サービスを認知させることができます。
Web広告の種類は多岐にわたり、それぞれ特徴が異なるため、Web広告に関する基礎知識を押さえて効果的に運用していくことが重要です。
本記事では、Web広告の初心者に向けて、種類や運用するメリット、課金方式、手順などを詳しく解説します。企業で広告・宣伝に携わっている方は、ぜひ参考にしてください。
Web広告(インターネット広告)の種類
①リスティング広告
②ディスプレイ広告
③リターゲティング広告
④アフィリエイト広告
⑤ネイティブ広告(インフィード広告)
⑥記事広告
⑦メール広告
⑧SNS広告
⑨動画広告
Web広告(インターネット広告)を運用するメリット・効果
①マス広告よりもコストを抑えられる
②配信ターゲットを精密に絞り込める
③広告効果をリアルタイムで測定可能
Web広告(インターネット広告)のデメリット・注意点
①媒体体の選び方によってはネガティブな印象を与える可能性がある
②競合が多いキーワードに関しては多額の予算が必要な場合がある
Web広告(インターネット広告)の課金方式
クリック課金
インプレッション課金
エンゲージメント課金
動画広告視聴課金
成果報酬課金
掲載期間保証型課金
Web広告(インターネット広告)の運用手順
①目的・ターゲット・予算を明確化する
②広告を制作・配信し、効果を測定する
③PDCAサイクルを回して施策を改善し続ける
Web広告(インターネット広告)の制作・運用で成果を出すためのポイント
ターゲットを具体的にイメージする(ペルソナを設定する)
広告の内容・ターゲットに適した媒体を選定する
自社商品との関連性が薄いキーワードを除外する
Web広告(インターネット広告)とは
Web広告とは、インターネット上の媒体(Webサイト、インターネット配信動画、電子メール、アプリなど)に掲載される広告の総称です。「インターネット広告」や「オンライン広告」と呼称される場合もあります。
近年、新聞や雑誌、テレビなど従来の媒体で配信される広告(マス広告)の市場規模が縮小しているのに対し、Web広告の市場規模は拡大中です。
Web広告(インターネット広告)の種類
Web広告には、多種多様な類型があります。以下、代表的なものを9種類紹介するので、それぞれの特長を正しく把握した上で適切に使い分けましょう。
①リスティング広告
リスティング広告とは、検索エンジンで検索する際に用いたキーワードに連動して検索結果画面の上部などにテキストベースで表示されるWeb広告です。「検索キーワード連動型広告」とも呼ばれます。
顕在層(欲しい商品や知りたいサービスが明確で購入意欲が高い層)に対して広告が表示されるため、購入・契約につながりやすいことが特長です。近年、Web広告全体に占めるリスティング広告の割合が増加しています。
②ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリなどに設置された広告枠に表示されるWeb広告です。「バナー広告」と呼ばれる場合もあります。
テキストだけではなく、画像や動画も用いて視覚的に商品・サービスを訴求できる点が魅力です。一目で興味・関心を持ちやすい形式であり、顕在層に加えて、潜在層(購入意欲が高くない層)へのアプローチにも役立ちます。
③リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去にWebサイトを訪問した経験を有するユーザー(顕在層)に対して表示するWeb広告です。自社のECサイトなどへの再訪問を促し、商品・サービスの購入につなげる目的で利用されます。Webサイトを訪問してから一定期間が経過した際に広告が表示される仕組みです。
商材を知らないユーザーに広告を配信するよりも、コンバージョン率(購入・契約などに至る割合)の向上が期待できます。
④アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、媒体主(アフィリエイター)が運営するWebサイト(ブログ)に、ECサイトなどへのリンクを設置する形式のWeb広告です。
アフィリエイター(ブロガーなど)が、広告主に代わって広告・宣伝を実施してくれます。訪問者がクリック・購入・資料請求などのアクションを実施した場合、広告主からアフィリエイターに報酬が支払われます。
一般的に成果に応じて報酬が支払われる仕組みであり、費用対効果が高いことが特長です。
⑤ネイティブ広告(インフィード広告)
ネイティブ広告とは、「ニュースサイトの記事一覧」や「SNSのタイムライン」などに、コンテンツと一体化した形で挿入されるWeb広告です。「インフィード広告」とも呼ばれます。
メディアのコンテンツになじむように表示されることがネイティブ広告の特長です。そのため、ユーザーが広告に対して抱く違和感が低減され、閲覧体験を損なわずにクリックを誘導できます。
⑥記事広告
記事広告とは、Webメディア(大手ポータルサイトやニュースサイトなど)とタイアップした記事型のWeb広告です。「タイアップ広告」や「PR記事」とも呼ばれます。
提携先メディアのユーザーに内容を読んでもらいやすいことが特長ですが、多額(数十万円~数百万円程度)の費用がかかる点にご留意ください。また、通常の記事ではなく広告である旨を明示するために、「PR」「AD」「広告」などの文言が記載されます。
⑦メール広告
メール広告とは、メールで配信する広告で、以下に示す2種類に大別されます。
- テキスト形式:文章だけで装飾のないメールを用いるタイプ
- HTML形式:画像の挿入やテキストの装飾などがあるメールを用いるタイプ
メールマガジンを配信している場合や、広告配信を許可している顧客のリストがある場合は、メール広告の活用も検討しましょう。なお、スパム・迷惑メールと判定され、読まれないケースもある点にご留意ください。
⑧SNS広告
SNS広告とは、各種SNS上で配信される広告です。タイムラインやトークリストなどに自然に広告が挿入されるため、ユーザーが違和感を抱きにくいことが特長です。
SNSが有する高い拡散性により、多くのユーザーが閲覧することを期待できます。潜在層へのアプローチ、自社商品の認知拡大、ブランディングなどを目的として活用されます。特定の属性(年齢・性別・居住地など)に向けて配信することも可能です。
⑨動画広告
動画広告とは、動画によるWeb広告です。動画共有サイト・アプリなどで、コンテンツの閲覧前後や閲覧中に表示されます。ディスプレイ広告・SNS広告などに関しては、動画を用いることにより、動画広告としての活用も可能です。
テキストや静止画の広告に比べて、短時間で多くの情報を伝えられます。ただし、動画の制作には、時間・労力がかかる点にご留意ください。
Web広告(インターネット広告)を運用するメリット・効果
Web広告を運用すれば、商品・サービスの認知度向上や売上増につながるでしょう。以下、運用によって享受できる主なメリット・効果を3つ紹介します。
①マス広告よりもコストを抑えられる
マス広告の場合、多額のコスト(広告費)がかかります。具体的には、雑誌広告に関しては1ページで数十万円、テレビCMや新聞広告に関しては数百万円以上の費用がかかるケースもあります。
しかし、Web広告の場合、1日あたり100円程度の予算で運用を開始することも可能です。予算に制約があって、広告費を抑えたいのであれば、Web広告を運用することをおすすめします。
②配信ターゲットを精密に絞り込める
マス広告でも、ある程度はターゲットを絞り込めますが、Web広告ほどの精密さではありません。
Web広告の場合、年齢・性別に加えて、居住地・興味・関心などの要素も踏まえて精密に配信(表示)するターゲットを絞り込むことが可能です。そのため、より大きな広告効果を得られるでしょう。
③広告効果をリアルタイムで測定可能
Web広告では、効果(どのくらいのクリック・購入・契約があったのか)をリアルタイムで測定できます。分析結果に基づいて、訴求したいメッセージや広告に掲載する画像などの修正、ターゲットの変更も柔軟に実施可能です。
テレビCMなど、マス広告の場合、内容の修正に多大なコスト・時間がかかる傾向にあります。
Web広告(インターネット広告)のデメリット・注意点
Web広告は、導入コストや効果測定などの面で大きなメリットがありますが、デメリット・注意点もあります。以下を正しく認識した上で、Web広告を上手に活用しましょう。
①媒体の選び方によってはネガティブな印象を与える可能性がある
審査なしで掲載可能な媒体や知名度の低い媒体は、媒体の存在自体がネガティブに受け止められる場合があります。それらで配信されている広告に関しても、消費者はネガティブな印象を持つかもしれません。Web広告を配信する際は、配信する媒体を慎重に選定しましょう。
また、知名度が高い媒体(SNSなど)であっても、閲覧者の属性とミスマッチな広告を流すと逆効果です。例えば、SNSユーザーの多くは、購入する意欲が高くない潜在層であるため、SNS上で購入を促す広告を見ると不快に感じるかもしれません。
検索結果画面に表示されるリスティング広告で購入を促しつつ、SNS広告に関しては認知度の向上やブランディングを目的として配信しましょう。
②競合が多いキーワードに関しては多額の予算が必要な場合がある
リスティング広告の場合、競合が多いキーワード(検索ボリュームが大きい「ビッグキーワード」)に関しては、クリック単価が高い傾向があります。そのため、想定よりも広告費がかかるかもしれません。
費用を抑制したい場合は、ロングテールの(検索ボリュームが小さく、クリック単価が低い)キーワードを狙うこともご検討ください。
Web広告(インターネット広告)の課金方式
Web広告の課金方式には、多種多様なタイプがあります。以下、代表的な課金方式(広告費用の決まり方)を6つ紹介するので、参考にしてください。
クリック課金
クリック課金とは、広告が1回クリックされるごとに費用が発生する方式です。「あらかじめ設定されたクリック単価×クリック回数」で計算されます。
リスティング広告・ディスプレイ広告・リターゲティング広告・ネイティブ広告・SNS広告など、多くのWeb広告でクリック課金が採用されています。
インプレッション課金
インプレッション課金とは、広告が表示された回数によって費用が決まる方式です。クリックされなかった場合でも、費用が発生する点にご留意ください。
ディスプレイ広告やリターゲティング広告などで、インプレッション課金が採用されることがあります。認知拡大を目指す場合に適しており、1,000回表示される都度、費用が発生するケースが一般的です。
エンゲージメント課金
エンゲージメント課金とは、広告主が事前に設定したユーザー行動が発生する都度、費用が発生する方式です。SNS広告などで用いられます。
ユーザー行動の具体例としては、フォロー・シェア・ダウンロードなどが挙げられます。
動画広告視聴課金
動画広告視聴課金とは、ユーザーが動画広告を視聴した際に費用が発生する方式です。動画広告で採用されています。
「15秒」など、一定の秒数以上視聴された際に費用が発生するケースもあれば、最後まで視聴された状況でのみ費用が発生するケースもあります。
成果報酬課金
成果報酬課金とは、「商品購入」「ユーザー登録」などのコンバージョンごとに費用が発生する方式です。なお、成果がない場合は、費用が発生しません。
成果報酬課金が採用されているWeb広告の代表例は、アフィリエイト広告です。
掲載期間保証型課金
掲載期間保証型課金とは、広告を配信(掲載)する場所と期間をあらかじめ指定して買い取る方式です。ディスプレイ広告で用いられることがあります。
他の課金方式が広告の運用を開始してから費用が決まるのに対し、掲載期間保証型課金は事前に広告費が確定するため、広告の予算管理がしやすいという特徴があります。
Web広告(インターネット広告)の運用手順
ここからは、Web広告を制作・運用する大まかな流れ・手順を紹介します。「広告を出稿したら、それで終わり」ではなく、効果の検証・改善を繰り返すことが重要です。
①目的・ターゲット・予算を明確化する
まず、「商材・ブランドの認知度を向上させる」「購入・契約を促す」など、広告を配信する目的を明確化してください。
また、どのような属性の消費者をターゲットにするのかを定めることも重要です。さらに、会社の予算を踏まえて、Web広告にどのくらいの費用をかけるのかを決めましょう。
②広告を制作・配信し、効果を測定する
上記で定めた目的やターゲット、商材に適した広告(テキスト・画像・動画などの素材)を制作しましょう。
閲覧者の悩み・興味・関心などを踏まえて、印象に残りやすい広告を制作することが重要です。広告が完成したら、配信を開始し、効果を測定してください。
③PDCAサイクルを回して施策を改善し続ける
「広告を制作・配信して効果を測定したら、それで終わり」ではなく、PDCAサイクルを回して施策を改善し、効果を高めましょう。PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」というプロセスを繰り返して、施策を改善する手法です。
複数の広告パターンを用意して配信し、効果(クリック数など)が高いものを選択することにより、売上・契約数の増加につなげましょう。
Web広告(インターネット広告)の制作・運用で成果を出すためのポイント
漫然とWeb広告を制作・配信しても、期待する効果を得られない可能性があります。以下、成果を出すためのポイントを3つ紹介します。
ターゲットを具体的にイメージする(ペルソナを設定する)
Web広告では、配信するユーザーの属性(居住地域や性別、年齢など)を指定可能な場合があります。商品を購入する可能性が高い性別・年齢などを踏まえて、ターゲットを絞って広告を配信しましょう。
明らかに自社商品のターゲットではないユーザー層にまで配信すると、広告費がかさんでしまいます。広告の素材(テキスト・画像・映像など)を制作する際は、ターゲットとする具体的な人物像をイメージする(ペルソナを設定する)ことが重要です。
広告の内容・ターゲットに適した媒体を選定する
媒体ごとに、ユーザーの属性(男女の比率など)は異なります。若者が多いメディア(SNSなど)もあれば、中高年層の割合が高い媒体もあるでしょう。より多くのクリック数や売上・契約数を獲得したいのであれば、取り扱う商材や訴求するターゲットに適した媒体を選定するべきです。
例えば、「中高年層が興味・関心を持つ商品・サービス」に関する広告であれば、中高年層の利用率が高い媒体に広告を出稿しましょう。
「若い世代に自社の商品を認知してもらいたい」「若い世代を新規顧客として獲得したい」などの場合は、若い世代の利用者が多いSNSに広告を出すことが有効です。
自社商品との関連性が薄いキーワードを除外する
リスティング広告の場合、ターゲットにするキーワードを厳選し、関連性が薄いキーワードを除外しましょう。見込みのないユーザーのクリックを抑制可能で、広告費の低減につながります。
例えば、アパレルショップの場合、自社で取り扱っていないブランドに関するキーワードを除外しましょう。除外したブランドを探しているユーザーに広告が表示されないため、購入する見込みがない消費者によるクリックを回避できます。
Web広告に関するソリューションを探すなら「デジタルマーケティング EXPO」へ
RX Japanが主催する「営業・デジタル マーケティングWeek」の「デジタルマーケティングEXPO」では、Web広告の制作・運用に役立つサービスが多数展示されます。
Web広告の制作・運用に携わっている方は、ご来場の上、最新情報を収集しましょう。また、Web広告の制作・運用に役立つサービス・ソリューションを開発・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために出展を検討してはいかがでしょうか。
下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。
開催地域、開催場所、日程
Web広告(インターネット広告)の種類や課金方式を把握し、自社に適したものを選択しよう
Web広告とは、インターネット上の媒体(Webサイト、インターネット配信動画、電子メール、アプリなど)に掲載される広告の総称です。配信するターゲットを絞り込むことにより、高い効果が期待されます。様々な種類・課金方式があるので、自社に適したものを選択しましょう。
RX Japanが主催する「営業・デジタル マーケティングWeek」の「デジタルマーケティングEXPO」では、Web広告の制作・運用に役立つサービスが多数展示されます。
Web広告の制作・運用に携わっている方は、ご来場の上、最新情報を収集してはいかがでしょうか。また、Web広告の制作・運用に役立つサービス・ソリューションを開発・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
▶監修:水谷哲也氏
プロフィール:水谷IT支援事務所・代表。大阪府よろず支援拠点、三重県産業支援センター、商工会議所などで経営、ITを中心に累計7,000件以上の経営相談を行う。中小企業診断士、ITコーディネータ・インストラクター、アプリケーション・エンジニア、販売士1級&登録講師。著作:「バグは本当に虫だった」(ペンコム・インプレス)、「インターネット情報収集術」(秀和システム)、電子書籍「誰も教えてくれなかった中小企業のメール活用術」(インプレスR&D)など。また、「アスキービジネス」、「エコノミスト」、「仕事とパソコン」などに連載。現在、AllAbout「企業のIT活用」担当ガイドとして、IT導入・活用にまつわる様々な情報を発信中。