Web会議システムとは?導入するメリットやデメリット、選び方などを詳しく解説!
Web会議システムを活用すれば、遠隔地にいる従業員や取引先の人員などと会議を実施できます。2020年に新型コロナウイルス感染症が流行してから、Web会議システムを導入する企業が急増しました。
Web 会議の導入により、業務の効率化だけでなく、コスト削減やリスク分散、スムーズなコミュニケーションなど、企業は様々なメリットを享受できるでしょう。ただし、「どのようなメリットがあるのか」「どのように選定するべきなのだろう」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、Web会議システムがどのようなものなのかを詳しく解説します。テレビ会議システムとの違いや、Web会議システムのメリット・デメリット、選び方などを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
Web会議システムとは
Web会議システムのメリット
①遠隔地にいる人員の負担軽減
②会議にかかるコストを削減できる
③働き方改革の推進に役立つ
Web会議システムのデメリット
①厳格なセキュリティ対策が必要
②表情・空気を読み取りにくい
③映像が途切れる場合がある
Web会議システムの選び方
セキュリティを重視するなら、オンプレミス型Web会議システム
運用の負担を軽減したい場合は、クラウド型Web会議システム
Web会議システムの同時接続数を確認する
Web会議システムの導入費用やランニングコストを比較検討する
ベンダーのサポート体制をチェックする
おすすめのWeb会議システム
①Google Meet
②Microsoft Teams
③Zoom
Web会議システムを快適に利用するためのポイント
カメラ・マイク・ヘッドセットなど、会議に必要な機材を導入する
リアクションを工夫して円滑なコミュニケーションを実現する
Web会議システムとは
Web会議システムとは、遠隔地のメンバー(同じ会社の従業員や取引先の人員など)と会議するためのシステムです。デジタルデバイス(通常のパソコンやスマートフォンなど)とインターネット回線が用いられます。システムによって、有料の場合もあれば、無料で利用可能な場合もあります。
2020年以降、新型コロナウイルス感染症への対策としてリモートワークを実施する企業が増加した結果、Web会議システムが急速に普及しました。
Web会議システムとテレビ会議システムの違い
テレビ会議システムとは、専用の機材・回線を用いて遠隔地のメンバーと会議するためのシステムです。Web会議システムよりも、音声や映像が高品質な傾向が見受けられます。
ただし、テレビ会議システムではオフィスの会議室などに集合した上で、拠点同士で通信して会議を実施するため、専用機器の購入、回線の利用料、会議室の確保など、通信をはじめるためのコストがかかります。
Web会議システムのメリット
Web会議システムを導入すれば、業務効率化や生産性が向上し、従業員満足度の向上も期待できます。企業側にも従業員にもメリットがあるので、導入を検討するべきです。
①遠隔地にいる人員の負担軽減
対面で会議を開催すると、遠隔地にいる人員に関しては、出席するために多大な移動時間・費用がかかります。例えば、東京で会議を開催する場合、北海道や沖縄などにいるメンバーは、飛行機に搭乗しなければいけないケースが多いでしょう。
しかし、Web会議システムがあれば、遠隔地にいるメンバーに負担をかけることなく会議を開催できます。海外に在住している人材と議論したり、海外の専門家からアドバイスを受けたりすることも可能です。
②会議にかかるコストを削減できる
Web会議システムは、普段使っているパソコンやインターネット回線で利用できます。テレビ会議システムと異なり、専用の機材を購入する必要はありません。
紙の資料を印刷したり、会議室を借りたりする費用も不要で、コスト削減につながることが魅力です。
③働き方改革の推進に役立つ
Web会議システムを導入しておけば、普段、リモートワークしている従業員が、会議のためだけにオフィスに出向かずに済みます。
従業員のワーク・ライフ・バランスが改善され、定着率が向上する(離職率が低下する)でしょう。働き方改革によって長時間労働の是正や多様な働き方が積極的に進められるなかで、働き方改革の推進に役立つので導入を検討しましょう。
Web会議システムのデメリット
Web会議システムには、上述したメリットがあります。ただし、セキュリティ面のリスクや会議中に通信状況が悪化する可能性があることにご留意ください。
①厳格なセキュリティ対策が必要
インターネット回線を介して会議を実施するため、セキュリティ面でリスクがあります。情報漏洩を防止するために、厳格なセキュリティ対策を講じなければいけません。
リモートワークを実施する従業員に対しては、事前に情報の取り扱いに関する教育・研修を実施しましょう。また、セキュリティソフトのインストールやVPNの利用を指示してください。
②表情・空気を読み取りにくい
対面での会議に比べると、Web会議では参加者の表情や場の空気を読み取りにくい傾向があります。誰かがスピーチしようと準備している様子を把握できず、複数のメンバーが同時にスピーチを開始することがあるかもしれません。
スムーズなWeb会議を実現するために、司会役を任命し、会議効率よく進行させましょう。
③映像が途切れる場合がある
インターネット回線を利用するため、通信状況が悪化して会議中に映像が停止したり、乱れたりする事態が発生するかもしれません。
リモートワークしている従業員の場合、一般家庭向けの回線を利用していると、頻繁に映像が途切れる可能性があります。オフィスの場合は、ビジネス用の回線を契約すれば、ある程度は通信状態を安定させられるでしょう。
Web会議システムの選び方
Web会議システムを選ぶ際は、セキュリティや利便性、同時接続数、費用、サポート体制などの要素をチェックしましょう。以下、選ぶ際のポイントを詳しく説明します。
セキュリティを重視するなら、オンプレミス型Web会議システム
Web会議システムを利用すると、チャットで打ち込んだ文字列や音声・映像・共有資料などが一定期間保存される場合があります。導入する際には、データの保存期間や、どこに格納されるのかを把握しておきましょう。
クラウド型サービスの場合、セキュリティ対策をベンダーに依存せざるを得ません。海外のデータセンターにデータが保存されるケースもあります。国によっては、法律に基づいてデータが政府に強制収容されるリスクがあることにご留意ください。
セキュリティを重視するのであれば、自社の構内に設置したストレージ内にデータが保存されるオンプレミス型Web会議システムを選択しましょう。自社でセキュリティ対策を講じることが可能で、カスタマイズ性も高い点が魅力です。
運用の負担を軽減したい場合は、クラウド型Web会議システム
オンプレミス型Web会議システムの場合、自社の構内に設置したストレージでデータを保存するため、情報漏洩リスクを低減できます。ただし、クラウド型サービスに比べて、初期費用やランニングコストがかかります。また、自社で機器の更新やソフトウェアのアップデートも実施しなければいけません。
クラウド型Web会議システムはカスタマイズ性が低いものの、ベンダーが機器やソフトウェアの更新作業を実施してくれるため、手間がかかりません。管理・運用にかかる負担を低減したい場合は、クラウド型Web会議システムを選択しましょう。
なお、クラウド型Web会議システムの場合、セキュリティ対策をベンダーに委ねることにご留意ください。導入する際は、クラウド上に保存されたデータを復元不可能な形で完全に削除可能かどうか(セキュアデリート機能の有無)を確認しましょう。
Web会議システムの同時接続数を確認する
Web会議システムを選定する際には、何名まで同時に接続可能なのかをチェックすることも重要です。大規模なオンラインセミナーなどを開催する予定がある場合は、最大で数百名以上が同時に視聴できるシステム・プランを選定しましょう。
なお、無料で利用できるWeb会議システム(プラン)の場合、同時接続数が少ない傾向があります。
Web会議システムの導入費用やランニングコストを比較検討する
Web会議システムには、無料で利用可能なプロダクトもあれば、有料のプロダクトもあります。また、プロダクトによっては、無料プランと有料プランの両方が用意されているケースも見受けられます。
有料のプロダクト(プラン)のほうが、「会議に参加可能な人数が多い」など、機能・サービスの内容が充実している傾向があります。予算に余裕がある場合は、有料のプロダクト(プラン)を導入してはいかがでしょうか。
ただし、「交通費・旅費の削減」を目的としてWeb会議システムを導入する場合、導入・運用費用が目的のコストを上回るようでは本末転倒です。ベンダーの公式サイトを閲覧し、初期費用やランニングコストを比較しながら、導入するシステムを選びましょう。
ベンダーのサポート体制をチェックする
Web会議システムを利用している際に、不具合が生じる可能性はゼロではありません。重要な会議(商談など)がある際に、利用できない状況に陥ると機会損失が発生します。不具合が発生していなくても、接続方法・設定方法などを理解できず、会議を開始できないケースがあるかもしれません。
ITに詳しい人材が社内にいない場合は、手厚いサポートを提供しているベンダーのWeb会議システムを選ぶべきです。早朝・深夜・土日祝日などでも、不具合が発生した際に迅速にサポートを受けられるかどうかを、ベンダーの公式サイトなどで確認しましょう。
また、サードパーティによるサポートサービスの活用もご検討ください。地域によっては、商工会議所が会員企業向けにオンライン会議サポートサービスを提供している場合もあります。
おすすめのWeb会議システム
様々なベンダーから、多種多様なWeb会議システムがリリースされています。以下、幅広く利用されているWeb会議システムを3つ紹介します。
①Google Meet
Google Meetは、Google社が提供しているWeb会議システムです。Google アカウントがあれば、誰でもWeb会議を開催できます。
「参加者100人まで、最長60分まで」なら、料金がかかりません(モバイルおよび1対1の通話は時間制限なし)。「101人以上の会議」「60分を超える会議」を実施したい場合は、有料プランの契約が必要です。
民間企業だけではなく、大学や官公庁でも利用されており、Enterpriseプランの場合は1,000人まで参加できます(料金は要問合せ)。
②Microsoft Teams
Microsoft Teamsは、Microsoft社が提供しているWeb会議システムです。社内外のチームや個人間で、チャット・音声通話、画面・ファイルの共有などが可能です。
リモートワーク環境下でも安全にコミュニケーションでき、業務が効率化されます。Word、Excel、PowerPointなどにTeamsから直接アクセスして共同編集できる機能もあり、数多くの民間企業や大学・官公庁で利用されています。
家庭向けプランでは無料のものもありますが、法人向けプランに関してはいずれも有料です。なお、一般法人向けプランの場合、参加者の上限は300人です。
③Zoom
Zoomは、Zoom Communications社が提供しているWeb会議システムで、民間企業や大学・官公庁などで幅広く利用されています。URLを共有するだけで、スムーズにWeb会議を開始できることが特長です。
無料プランと有料プランがあり、無料プランの場合、「出席者100名まで、最大40分」の利用制限があります。有料プランにはいくつかの種類がありますが、エンタープライズプランであれば、「出席者1,000名まで、最大30時間」の会議が可能です。
Web会議システムを快適に利用するためのポイント
Web会議システムを導入しても、使い方によっては快適に利用できない場合があります。以下、快適に利用するためのポイントを2つ紹介するので、参考にしてください。
カメラ・マイク・ヘッドセットなど、会議に必要な機材を導入する
パソコンなどに内蔵されているカメラ・マイクを利用してWeb会議を実施することも可能ですが、画質や音質が悪い場合があります。
高画質・高音質を求めるのであれば、別途、外付けの専用カメラ・マイク・ヘッドセットなどを用意しましょう。なお、トラブルが発生しないように事前にテストを実施してください。
リアクションを工夫して円滑なコミュニケーションを実現する
カメラは原則としてオンの状態で、お互いの表情を見ながら会話しましょう。映像だけではなく、チャットでも質問を送信し、スタンプを活用してリアクションすれば、円滑なコミュニケーションを実現できます。
なお、対面での会議に比べて、Web会議では相槌のタイミングが難しく、確認しにくいことにご留意ください。「うなずく」「笑顔を見せる」などの動作・表情は、通常よりも大きくすることを心がけましょう。
「社内業務DX EXPO」でWeb会議システムの情報収集を
RX Japanが主催する展示会「Japan DX Week」の「社内業務DX EXPO」では、Web会議システムに関連したプロダクト・ソリューションが数多く展示されます。
Web会議システムの導入や運用に携わっている方は、ご来場の上、最新情報を収集しましょう。Web会議システムに関連したプロダクト・ソリューション・サービスを開発・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、出展を検討してはいかがでしょうか。
下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。
Web会議システムで業務効率化・生産性向上の実現を
Web会議システムを活用すれば、遠隔地にいる従業員や取引先の人員と円滑なコミュニケーションが可能です。新幹線や航空機で移動せずに済み、業務効率化・生産性向上につながるでしょう。
RX Japanが主催する展示会「Japan DX Week」の「社内業務DX EXPO」では、Web会議システムに関連したプロダクト・ソリューションが多数展示されます。
Web会議システムの導入・運用に携わっている方は、ご来場の上、最新情報を収集しましょう。Web会議システムに関連したプロダクト・ソリューションを開発・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
▶監修:水谷哲也 氏
プロフィール:水谷IT支援事務所・代表。大阪府よろず支援拠点、三重県産業支援センター、商工会議所などで経営、ITを中心に累計7,000件以上の経営相談を行う。中小企業診断士、ITコーディネータ・インストラクター、アプリケーション・エンジニア、販売士1級&登録講師。著作:「バグは本当に虫だった」(ペンコム・インプレス)、「インターネット情報収集術」(秀和システム)、電子書籍「誰も教えてくれなかった中小企業のメール活用術」(インプレスR&D)など。また、「アスキービジネス」、「エコノミスト」、「仕事とパソコン」などに連載。現在、AllAbout「企業のIT活用」担当ガイドとして、IT導入・活用にまつわる様々な情報を発信中。