ECサイトの作り方は?費用や構築手順、プラットフォームの選び方を解説

近年、オンラインで商品を購入する方が増加しており、売上増加を実現するためにECサイトを導入する企業も多くなってきています。また、ECサイトのみで商品を販売する方法もあり、実店舗を設けない分、管理コストの削減ができる場合もあります。

本記事では、ECサイトの作り方を詳しく解説します。プラットフォームの選び方や補助金制度もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。


ECサイトの作り方(プラットフォーム)の種類

ECサイトを作る際は、下表に示すプラットフォームを活用しましょう。


プラットフォーム:無料ASP・有料ASP


費用感:無料または比較的安価
メリット:迅速にECサイトを構築できる、インターネットの専門知識が不要
デメリット:自由自在にカスタマイズができない



プラットフォーム:オープンソース


費用感:自社対応できる場合は無料、外部業者に依頼する場合は一定の費用がかかる
メリット:プログラムコードを理解できれば、無料で利用やカスタマイズできる
デメリット:専門知識がない場合、構築・運用を外部業者に依頼する必要がある、セキュリティ面は自社で対策が必要



プラットフォーム:SNS


費用感:費用が高めの傾向
メリット:必要な機能がひととおり搭載されている、カスタマイズが可能
デメリット:ある程度の初期費用やランニングコストがかかる、自社でサービスのメンテナンスが必要



プラットフォーム:クラウドECサイト構築サービス


費用感:費用高めの傾向
メリット:サーバーなどの設備・機器を用意する必要がない、システムが随時最新化される
デメリット:オンプレミス(自社サーバーや機器)による運用ができない



プラットフォーム:SNS


費用感:無料または比較的安価
メリット:SNSユーザーをシームレスに自社・自店舗の商品購入に誘導できる
デメリット:SNSユーザー以外をターゲットにする場合、他の手法と組み合わせることも要検討


各手段に関して詳しく説明します。


無料ASP・有料ASP

ASPとは、「Application Service Provider」の略で、Webブラウザで利用可能なECサイト構築サービスです。無料と有料のASPがあり、有料ASPのほうが利用できる機能が多い傾向があります。

ASPを活用すれば、迅速にECサイトを構築可能かつ、自社でシステムを用意する必要がありません。ただし、デザインやシステムを自由自在にカスタマイズできない点や独自ドメインを使用できないものがある点には注意してください。

オープンソース

オープンソースとは、ソースコードが公開されているソフトウェアです。無料で利用可能なので、ITに関する知識・技術を有する場合はコストを削減できます。ソースコードを編集することで自由にカスタマイズできることも魅力です。

ただし、専門知識がない場合は、構築・運用を外部業者に依頼しなければならず、一定の費用がかかります。また、元が公開されているソースコードのため、セキュリティ面は自社で対策をする必要があります。対策が不十分な場合、ハッキングや情報漏洩に繋がるかもしれません。

パッケージ

パッケージとは、ECサイト構築に必要な機能が搭載されたソフトウェアです。ソフトウェア開発会社から購入し、ECサイトを作成するために使用します。

基本的に必要な機能がひととおり搭載されており、システムやデザインのカスタマイズ性が高い点が特徴です。ただし、機能性が高い分、ある程度の初期費用やランニングコストがかかることにご留意ください。

また、パッケージを利用する際は定期的にサービスのメンテンナスが必要です。古いパッケージシステムを使い続けると、セキュリティ面の懸念が発生する場合があります。

クラウドECサイト構築サービス

クラウドECサイト構築サービスとは、クラウドサーバー上にECサイトを構築できるサービスです。自社でサーバーなどの設備・機器を用意する必要がありません。ASPと異なり、カスタマイズが可能です。また、クラウドサーバー上のサービスのため、随時システムが最新化されている点も特徴です。

なお、クラウドECサイト構築サービスには、国内業者のサービスと海外業者のサービスがあります。海外業者がグローバル展開するサービスでは、英語で作成された文章が日本語に翻訳されていることが一般的です。なお、サポート・ヘルプページや管理画面の一部に、英語表記の部分が残っているケースがあることにご留意ください。

また、企業の方針としてオンプレミス(自社の構内にサーバーを設置し、保守・管理する手法)による運用が定められている場合は、利用できません。

SNS

SNSによっては、ECサイトを構築する機能が提供されている場合があります。SNSが身近な存在になりつつある昨今、ユーザーをシームレスに自社・自店舗の商品購入に誘導できる点で有用です。

ただし、SNSユーザーのみをターゲットとすることにご留意ください。幅広い消費者に販売したい場合は、他の手法と組み合わせることも検討しましょう。


個人か企業かによってECサイトの作り方は異なる

個人か企業かによって、ECサイトの作り方は異なります。個人の場合は、無料ASPなど、なるべくコストがかからない手段でECサイトを構築しましょう。売上が増えたら、別手段への移行もご検討ください。ITに関する専門知識や技術がある場合は、無料のオープンソースを利用することも選択肢です。

企業の場合は、必要な機能や売上規模、予算、人員コストを踏まえて、自社に適した手段を選択しましょう。以下、トータルコストが低いものから高いものへと、手段・プラットフォームを順番に並べました。

  • SNS
  • ASP
  • オープンソース
  • クラウドECサイト構築サービス
  • パッケージ

あくまでも目安・傾向であり、自社のIT部門で構築・運用できるのであれば、有料ASPよりもオープンソースを活用するほうがコストを抑えられる場合もあります。具体的な費用は、各サービスの公式サイトでご確認ください。


ECサイトの構築手順

以下は、オープンソースやパッケージ、クラウドECサイト構築サービスを用いてECサイトを構築する大まかな流れです。ASPやSNSを用いる場合は、各事業者の公式サイトでご確認ください。

  1. コンセプト・要件の定義
  2. プラットフォームの選定
  3. サイトデザインの制作
  4. 各種設定(決済手段・配送方法など)
  5. 商品登録
  6. テスト注文

各段階に関して詳しく説明します。


①コンセプト・要件の定義

まず、どのようなコンセプトのECサイトを作成するのかを決定します。若い女性向け、中高年男性向けなど、ターゲットによって構築するECサイトのコンセプトを変えましょう。

また、要件定義も欠かせません。運用フローを確認し、課題を整理してください。

②プラットフォームの選定

次に、どのプラットフォームを利用するのかを選定します。

なお、選定の際は自社がターゲット層に購入してもらうために必要な機能が備わっているかどうかを確認することが大切です。場合によってはそのまま利用するのではなく、プラットフォームをカスタマイズすることも検討します。

③サイトデザインの制作

次にサイトデザインを制作します。社内にデザイナーが在籍している場合は、自社でデザインの制作が可能です。手段・プラットフォームによっては、デザインのテンプレートを使用できるケースもあります。

自社で対応できない場合は、外部のデザイナーに依頼しましょう。

④各種設定(決済手段・配送方法など)

決済手段(クレジットカード・デビットカード・スマートフォン決済サービスなど)や配送方法の設定も、ECサイトを構築する上で不可欠です。

なお、販売する商品数が多い場合は、梱包代行サービスの活用を検討する場合もあります。

⑤商品登録

ECサイトが構築されたら、販売する商品を登録します。

商品の画像や動画をカメラで撮影し、ECサイト上にアップロードしましょう。また、値段や説明文の記載も必要です。登録後は必ずミスの有無を確認し、ミスを発見した場合は登録内容を修正しましょう。

⑥テスト注文

実運用を開始する前に、テスト注文を実施します。テストの結果、万が一動作に不具合があることが判明したら、システムを修正する必要があります。

社内で対応できない場合は、外部業者に依頼しましょう。


ECサイトを構築するプラットフォームの選び方

ECサイトを構築する手段・プラットフォームは、以下に示す要素をチェックした上で、自社・自店舗に適したものを選びましょう。

  • 開発・運用費用
  • 機能の充実度
  • セキュリティ面
  • 外部システムとの連携

それぞれに関して詳しく説明します。


開発・運用費用

まず、どのくらいの開発・運用費用がかかるのかをチェックしてください。自社の予算を踏まえて、手法・プラットフォームを選定しましょう。

なお、フルスクラッチ開発(ゼロからオリジナルで開発)は自由度が高く、理想のECサイトを作ることができる反面、コストが高く、開発期間も長い傾向があるので注意してください。

機能の充実度

手法・プラットフォームごとに、実現可能な機能が異なることにご留意ください。なお、無料ASPよりも有料ASPのほうが、機能が充実している傾向があります。

自由にカスタマイズしたい場合は、オープンソースやパッケージ、クラウドECサイト構築サービスを選択することも検討しましょう。

セキュリティ面

ECサイトでは、大量の個人情報(氏名・住所など)を取り扱うため、セキュリティ面のチェックも欠かせません。

万が一、個人情報が流出した場合、企業の信用が失墜します。法的責任の追及を受け、賠償を請求される可能性もあるので注意しましょう。

外部システムとの連携

手法・プラットフォームによっては、外部システムと連携できない場合もあります。事前に連携可能な外部システムを確認しましょう。

コストだけに着目して手法・プラットフォームを選定してしまうと、運用開始後に使い勝手が悪いことが判明し、業務効率が低下する可能性があるのでご注意ください。


ECサイトを作る際に活用できる補助金制度

ECサイトを作る際に補助金が活用できる場合があります。いかに活用できる補助金制度の概略をまとめました。


補助金制度:ものづくり補助金


対象:中小企業・小規模事業者など
補助対象:人手不足の解消に向けて、サービス提供方法の効率化・高度化(ECサイト構築)に必要なソフトウェア・システムを導入する場合など(「省力化(オーダーメイド)枠」のケース)



補助金制度:小規模事業者持続化補助金


対象:小規模事業者など
補助対象:販路開拓の一環でWebサイト関連費(ECサイト構築・運用費)などを支出する場合



補助金制度:事業再構築補助金


対象:新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靱化に取り組む中小企業など
補助対象:新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靱化に取り組む中小企業など


(※)対象・利用条件は、2024年6月12日時点の公式サイト・公募要領などに基づく情報です。
出典:ものづくり補助金総合サイト「公募要領
出典:全国商工会連合会「商工会議所地区小規模持続化補助金<一般型>ガイドブック
出典:経済産業省 中小企業庁「事業再構築補助金 第12回公募の概要

最新情報および適用要件などの詳細に関しては、各補助金制度の公式情報をご確認ください。


ECサイトを作る際の注意点

以下は、ECサイトを作る際に注意するべき点です。

  • 無料のASPサービスは、機能が充実していない場合がある
  • オープンソースを使いこなせない場合は有料サポートを活用しよう
  • 予算に余裕がある場合は、有料ASPやパッケージの活用も検討を

各注意点に関して詳しく説明します。


無料のASPサービスは、機能が充実していない場合がある

無料のASPは、有料ASPに比べて機能が充実していない場合があるのでご注意ください。また、機能だけでなく、サポート体制も比較的貧弱な傾向があります。

ITに関する知識・技術を有していない企業では、トラブル・不具合が発生した場合、スムーズに対応できないかもしれません。

オープンソースを使いこなせない場合は有料サポートを活用しよう

ITに関する専門知識(プログラミングスキルなど)を有するスタッフが在籍していない企業では、オープンソースのソフトウェアを使いこなすことは難しいでしょう。

社内にITに詳しい人材がいない場合は、外部業者の有料サポートサービスを活用することもご検討ください。

予算に余裕がある場合は、有料ASPやパッケージの活用も検討を

上述したように、無料のASPは、機能やサポートが不充分なケースがあります。価格だけに着目してECサイト構築手段・プラットフォームを選ぶと、業務効率が落ちる可能性があるのでご注意ください。

予算に余裕がある場合は、有料ASPやパッケージを活用するほうが良いでしょう。機能が充実しており、手厚いサポートも受けられるので、業務効率が向上します。


ECサイトの導入に悩んでいるなら「次世代EC EXPO」へ!

RX Japan(株)が主催する展示会「EC・店舗Week」内の「次世代EC EXPO」では、ECサイト構築に役立つソフトウェア・サービス・ソリューションが数多く展示されます。ECサイトの構築に関する悩みを抱えている担当者は、ご来場の上、情報を収集してはいかがでしょうか。

「EC・店舗Week」は、小売業、通販・ネットショップ、飲食・サービス、メーカーなどの経営、EC、マーケティング、店舗運営・開発、物流部門の方が来場する展示会です。ECに関するソフトウェアやソリューションを提供する企業にとっても有益な展示会です。新規顧客開拓、認知拡大につながるので、ぜひ出展をご検討ください。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。



自社・自店舗に適した作り方でECサイトを構築しよう

オンライン通販サイトで商品を購入する消費者が増加する昨今、売上増を実現するために、ECサイトの構築が欠かせません。無料ASP・有料ASP、オープンソース、パッケージ、クラウドECサイト構築サービス、SNSなど、自社・自店舗に適した手法・プラットフォームで構築しましょう。

ECサイトの構築にお悩みの場合は、RX  Japan(株)の展示会「EC・店舗Week」内の「次世代EC EXPO」にご来場の上、支援サービスに関する情報収集もご検討ください。また、支援サービスを開発・提供している企業は、新規顧客獲得のために出展してはいかがでしょうか。

 

「EC・店舗Week」詳細は こちら


▶監修:牧村和慶氏

株式会社Crepas 代表取締役

大学院修了後、日本電気株式会社(NEC)へ入社。携帯キャリア向け大規模Webシステムの構築やUNIX系の基幹サーバーの提案・販売実績がある。その後、NECビッグローブ(現 ビッグローブ株式会社)へ出向しコンシューマー向けサービス企画・運営に従事。2013年に株式会社Crepasを創業し、代表取締役に就任。これまでの経験を活かし「レンタルサーバー比較」や光回線・モバイルWiFiの比較メディア「プロバイダー・ワン」などを運営。YouTube「Crepasチャンネル」でもネット回線を検討するユーザーに役立つ動画を発信している。