ECサイト運営とは?業務内容や必要なスキル、運営時の注意点を解説

ここ数年でインターネットの普及が進み、店頭ではなくオンラインで商品を購入する消費者が急増しています。それに伴って、EC業界の市場規模も拡大を続けており、ECサイトの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。

しかし、ECサイトの運営には様々な業務があり、初めて取り組む企業にとっては難しく感じる面もあるでしょう。

本記事では、ECサイト運営の基本から具体的な業務内容、必要なスキル、運営費用の内訳を詳しく解説します。これからECサイト運営をはじめる方は、ぜひ参考にしてください。


ECサイト運営とは?

ECサイト運営とは、オンラインショップを立ち上げ、管理・運営することをさします。以下では、ECサイト運営の基本概要とその重要性を詳しく解説します。


ECサイト運営の基本概要

ECサイト運営とは、インターネット上で商品やサービスを提供し、商品の管理、プロモーションを行うことです。運営には商品の企画から販売、顧客対応、物流管理まで多岐にわたる業務が含まれます。

まず、市場調査を基に顧客ニーズに応じた商品を企画し、信頼できるサプライヤーからの仕入れが重要です。次に、SEO対策やSNSマーケティング、広告キャンペーンなどのデジタルマーケティング手法を活用して集客を図ります。

また、顧客対応では、問合せやクレームに迅速かつ丁寧に対応して顧客満足度を高め、リピート購入を促進することで、ライフスタイルバリューを高める効果があります。

さらに、在庫管理や受注処理、配送業務を効率的に行い、迅速に商品提供し、顧客の期待に応えます。物流業務の効率化はコストの削減にも寄与します。

ECサイト運営は、多岐にわたる業務の効率的な管理が、ビジネスの成功と成長につながります。


ビジネスにおいてのECサイト運営の重要性

現代の消費者はオンラインショッピングを頻繁に利用しています。総務省の「家計消費状況調査年報(令和4年)」によると、オンラインショッピングの利用世帯は年々増加しており、令和4年にはネットショッピングを利用する二人以上世帯の割合は52.7%に到達しています

また、BtoBビジネスにおいても重要性が高まっており、企業にとってECサイトの運営はビジネス成功の鍵になります。ECサイトを活用することで、企業は多くの顧客にリーチでき、販売チャネルを拡大できます。

企業はECサイト運営において、魅力的な商品ラインナップや優れた顧客サービスの提供を通して、競合他社との差別化を図りブランド価値を高めることが重要です。ECサイト運営は、企業全体の成長と発展を支える重要な要素であり、この傾向は今後も続くでしょう。

※総務省統計局「家計消費状況調査2022年ネットショッピングの状況


ECサイト運営の業務内容

ECサイト運営は、顧客と直接対面するフロント業務と、裏方での管理を行うバックエンド業務の二つに大きく分けられます。

フロント業務は、顧客対応や販売促進を中心に行い、バックエンド業務は、物流管理や在庫の調整などを行います。それぞれの業務内容を詳しく説明します。


フロント業務

フロント業務は、ユーザーに見える部分かつ、ECサイトの売上に直接関係のある部分の業務をさし、主に以下の3つが挙げられます。

  • 商品企画
  • マーケティング戦略
  • 顧客対応

まず、最も優先すべきことは成長市場のトレンドにのり、市場とともに成長することです。よって、商品企画の段階から成長市場をある程度見極めておき、見極めた市場の調査を通じて顧客のニーズに合った商品の企画が求められます。販売の成功に直結するため、顧客の要望や市場トレンドの把握が重要です。

次に、マーケティング戦略の立案および実行です。現代のマーケティングは、SNSとは切り離せません。各種プラットフォームを活用し、とにかく高頻度でコンテンツをアップし続けることが代表的な成功要因です。

さらには、SEO対策を行い、PDCAを繰り返しながら検索エンジンでの上位表示を目指すとともに、広告運用を通じて商品のプロモーションを行います。ECサイトへの流入を増加させ、売上を拡大します。

さらに、顧客対応では、顧客からの問合せやクレームに迅速かつ適切に対応し、顧客満足度を高め、リピート購入を促します。優れたカスタマーサポートは、顧客の信頼を獲得し、ブランドロイヤロリティの向上にもつながります。

なお、ライブチャット、FAQセクション、メールサポートなど、多様なチャネルを用いることが効果的です。


バックエンド業務

バックエンド業務は、ECサイト運営の裏方の管理業務であり、効率的な運営を支える重要な役割を果たしています。主に以下の3つが挙げられます。

  • 在庫管理・受注管理
  • 仕入れ戦略
  • 配送と梱包の効率化

まず、在庫管理と受注管理では、効率的な在庫管理システムを導入し、在庫切れや過剰在庫を防ぎ、コストを最適化します。顧客への迅速な対応が可能となり、満足度向上に繋がります。

次に、仕入れのプロセスでは、信頼できるサプライヤーから仕入れを行い、コスト管理の徹底が求められます。適切な仕入れ戦略は、コスト削減と品質維持の両立を実現し、ビジネスの競争力を強化します。

また、配送と梱包の効率化も重要です。迅速で確実な配送と丁寧な梱包を行い、顧客の信頼と満足度を高め、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得が期待できます。


ECサイト運営に必要なスキル

ECサイト運営を成功させるためには、多岐にわたるスキルが必要です。特に重要なのは、以下の3つです。

  • WEBマーケティングスキル
  • クリエイティブスキル
  • カスタマーサポートスキル

これらのスキルは、顧客のニーズを正確に理解し、魅力的なコンテンツを提供し、高品質な顧客対応を実現するために不可欠です。

それぞれのスキルを詳しく解説します。


WEBマーケティングスキル

ECサイト運営には、WEBマーケティングスキルが特に重要です。なかでもSEO(検索エンジン最適化)とコンテンツマーケティングは、サイトへのアクセスを増やし、オンラインでの認知度を高めるために不可欠です。

SEOでは、キーワードの選定やメタタグの最適化、質の高いコンテンツ作成が求められます。検索エンジンの結果ページで上位に表示されやすくすることで、自然検索からの流入が増加します。

また、コンテンツマーケティングも欠かせません。主な手法としては、SNSや広告運用があります。SNS活用では、ターゲットオーディエンスに効果的にアプローチし、ブランド認知を高めます。

広告運用では、リスティング広告やディスプレイ広告を利用して、特定のユーザー層にピンポイントで広告を表示します。併せてリターゲティング広告を活用して、一度訪問したユーザーに再度アプローチ することが有効です。そして潜在顧客にリーチし、コンバージョン率の向上を目指します。


クリエイティブスキル

クリエイティブスキルは、ECサイトの魅力を最大化し、競合他社との差別化を図るための重要な要素です。なかでもデザインとビジュアルコンテンツの作成がポイントです。

魅力的なビジュアルコンテンツは、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、サイト訪問者の興味を引きつけます。これには、視覚的に魅力的なデザイン、分かりやすいレイアウト、そして使いやすいナビゲーションが含まれます。このような工夫で、ユーザーがサイトに長く滞在しやすくなり、結果、コンバージョン率も向上します。

また、コピーライティングのスキルも欠かせません。効果的な商品説明やブログ記事は、商品の魅力を伝え、顧客の購入意欲を高めます。クリエイティブな文章で商品の特徴やメリットを強調し、顧客が具体的に商品をイメージできるように、商品の価値をより分かりやすく伝え、購入を促進します。


カスタマーサポートスキル

ECサイト運営でカスタマーサポートスキルは、顧客満足度を高め、信頼関係を築くために欠かせないポイントです。

まず、顧客対応の基本は、丁寧で迅速な対応です。顧客からの問合せやクレームに対して素早く正確に対応し、問題解決をサポートすることで、顧客満足度を高めます。特にトラブルシューティングでは、迅速な対応と適切な解決策の提示が必要です。迅速な対応で、顧客の信頼を得られれば、ブランドロイヤリティの向上にもつながります。

顧客との信頼を構築できれば、リピート購入や口コミ口コミ投稿やSNSでの拡散等、UGC(User Generated Content)という一般ユーザーによって生み出されるコンテンツが増えれば増えるほど、新規顧客の獲得も期待できるでしょう。


ECサイト運営にかかる費用

ECサイトを運営するには、初期費用と継続的な運営費用が必要です。初期費用には、サイトの構築やデザイン、ドメイン取得が含まれ、運営費用にはホスティングやマーケティング、メンテナンス費用が含まれます。

このセクションでは、それぞれの費用項目を詳しく説明します。


初期費用の内訳

ECサイト運営の初期費用は、サイトを立ち上げて運営を開始するために重要な投資です。主に以下の3つです。

  • サイト構築費用
  • 商品仕入れ費用
  • マーケティング費用

まず、サイト構築費用は、サイトのデザインや開発にかかる費用で、ビジュアルデザイン、ユーザーインターフェース、機能性を含めた全体的な構築に関わります。プロのデザイナーや開発者を雇う場合、費用は高くなる可能性があります。

次に、商品仕入れ費用です。初期在庫を確保するための費用で、商品の選定やサプライチェーンの構築に関連しています。

続いて、マーケティング費用です。ECサイトのプロモーションに必要な広告やキャンペーンにかかる費用をさします。SEO対策やSNS広告、リスティング広告など、様々なマーケティング手法を活用してサイトの認知度を高めます。


運営費用の内訳

ECサイト運営には、初期費用に加えて継続的な運営費用が必要です。主に以下の3つです。

  • システム維持費用
  • 人件費
  • 広告費用

システム維持費用には、サイトの保守、セキュリティ更新、システムの維持費用が含まれます。安定したサイト運営のためには、定期的なバックアップやサーバーのアップグレードが欠かせません。また、トラブル対応や技術的サポートも含まれます。

人件費には、商品管理やカスタマーサポート、マーケティング業務を担当するスタッフの給与、福利厚生、研修費用が含まれます。適切な人材の確保と育成は、運営の効率化とサービス品質向上に繋がります。

最後に広告費用は、継続的なマーケティング活動に使われます。オンライン広告やSNSキャンペーン、メールマーケティングなどにより、サイトの認知度を高め、新規顧客の獲得を促進します。


ECサイト運営の注意点

ECサイト運営には、いくつかの重要な注意点が存在します。スムーズで効果的な運営を実現するためには、これらの注意点を理解し、適切に対応しましょう。


遵守すべき法律や規制がある

ECサイトの運営で、特に重要な法律は、「個人情報保護法」と「特定商取引法」です。

個人情報保護法では、顧客の個人情報の適切な取り扱いが義務付けられています。顧客データの収集、保管、利用、そして第三者への提供に関する規定が含まれ、適切なデータ管理は、プライバシー保護とセキュリティ対策に直結し、企業の信頼性を向上させます。

一方、特定商取引法は、オンライン販売の法的規制を明確に定め、取引の透明性を確保し、消費者の権利保護を目的としています。具体的には、商品やサービスの内容、価格、支払方法、返品・キャンセルポリシーの詳細な説明が求められます。


セキュリティ対策を講じる必要がある

セキュリティが脆弱なECサイトは、情報漏洩や不正アクセスなどのリスクにさらされる可能性があります。そのため、セキュリティ対策は極めて重要です。セキュリティ対策で特に必要なのは、「顧客データの保護」と「不正アクセスの防止」です。

顧客データの保護の徹底は、データ保護の基本です。SSL証明書の導入やデータ暗号化、アクセス制限など、これらの対策で顧客情報の漏洩を防ぎ、信頼性を確保します。

次に、不正アクセス防止です。強固なセキュリティ対策を実施し、サイバー攻撃からサイトを守ります。ファイアウォールやIDS/IPSの導入、さらには定期的なシステム更新とセキュリティ監査が推奨されます。


顧客満足度がないと継続的なECサイト運営は難しい

継続的にECサイトを運営するためには、顧客満足度の維持・向上が欠かせません。顧客満足度を高めるためには、以下の取り組みが重要です。

まず、カスタマーサポートの充実です。問題や問合せに対する迅速かつ適切な対応を通して、顧客は企業に対して信頼感を持ち、利用意欲が高まります。

次に、品質管理と迅速な対応です。商品品質を常に高水準に保ち、問題が発生した場合の応対品質も高めることで顧客は安心して購入でき、企業の評価も向上します。

最後に、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、サービスや商品の改善に反映させることです。これにより、顧客のニーズに応えることができ、長期的な信頼関係を築くことができます。


効率的なECサイト運営には定期的な運営方法の見直しも大切

効率的なECサイト運営を実現するためには、定期的な運営方法の見直しが大切です。見直しを行うことで現行のフローに改善点を見つけ、さらなる効率化に繋がる可能性があります。

主に以下の2軸で見直しすると良いでしょう。

  • 作業のシステム化
  • 効率化のためのツール導入

作業のシステム化

作業のシステム化は、ECサイト運営を行う上で重要な要素です。特に在庫管理システムと受注管理システムの導入は、業務の効率化とエラーの削減にとても効果的です。

まず、自動在庫管理システムの導入で、在庫の最適化が可能です。リアルタイムで在庫状況を把握できるので、過剰在庫や在庫切れを防ぎ、適切なタイミングで補充ができます。結果として、コスト削減と顧客満足度の向上が期待できます。

次に、受注管理の自動化です。受注処理を自動化すると、手作業によるミスが減り、業務のスピードと効率が向上します。迅速な注文処理と発送が可能となり、顧客満足度の向上にも繋がります。


効率化のためのツールの導入

マーケティングオートメーションと顧客管理システム(CRM)の導入は、運営の効率や、顧客満足度をさらに向上させます。

マーケティングオートメーションは、マーケティング活動を自動化し効率的にマーケティングを行えます。例えば、メールの自動送信やSNSの投稿スケジュール管理が可能となり、手間を省けます。その間、スタッフは他の重要な業務に集中でき、全体の業務効率を向上させます。

さらに、顧客管理システム(CRM)を使用し、顧客情報を一元管理し、顧客との関係を強化できます。例えば、購入履歴や問合せ履歴を基に、個別のニーズに対応したサービスを提供します。その結果、顧客満足度が向上し、リピーターの増加が期待できます。


「次世代EC EXPO」で最新EC技術やトレンドをチェック!

RX Japan(株)が主催する展示会「EC・店舗 Week」の一部である「次世代EC EXPO」では、最新のEC技術やトレンドをチェックできます。ECサイトの導入を検討している方は、ぜひご来場の上情報を収集してはいかがでしょうか。

さらに、ECサイト関連のシステムやツールを提供する企業にとっては、出展を通じて自社のサービスを広く認知してもらう絶好の機会です。新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。



業務内容や必要スキルを把握して効率的にECサイトを運営しよう

ECサイト運営には、基本的な業務内容と必要なスキルの理解が不可欠です。そして、サイトを運営する際には、法律の遵守、セキュリティ対策を理解し、適切に実行することが重要です。

商品の企画や販売、顧客対応、物流管理の業務を効率的に行うためには、マーケティングオートメーションやCRMシステムの導入が有効です。

RX Japanが主催する「次世代EC EXPO」は、最新のEC技術やトレンドをチェックする絶好の機会です。展示会では、業界最先端の技術展示やデモンストレーションが行われます。ECサイトの運営に役立つ情報を収集する、EC関連の自社サービスの説明をする場として、ぜひご活用ください。

 

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▶監修:濱口浩平氏

プロフィール:2008年野村総合研究所入社、アクセンチュアを経て、2015年よりフリーコンサルタントとして活動開始。3年連続、売上5,000万円を達成するなどトップコンサルタントとして活躍。これまで、IT戦略、DX推進、新規事業策定、PMO、システム導入など幅広いプロジェクトを経験。2022年Shine Craftを創業。

HP:https://theconsul.jp/company/