ChatGPTとは?仕組みや使い方、活用事例を徹底解説!
近頃、ニュースやセミナー、会議、研修などで、「ChatGPT」という文章生成AIサービスに関して見聞きする機会が増加しました。しかし、「サービスの名称は知っているものの、仕組みは正確に把握できていない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、話題のChatGPTの仕組みを詳しく解説します。パソコンおよびスマートフォン用アプリで利用する方法や、ChatGPTの活用事例、注意するべき点もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
文章生成AIサービス「ChatGPT」とは
文章生成AIサービスの基盤技術「自然言語処理」
自然言語処理の「深層学習技術」による発展
ChatGPTの使い方
PC(パソコン)で利用する場合
スマホアプリで利用する場合
ChatGPTには無料版と有料版がある
ChatGPTの主な機能
チャット内容を共有する機能
AIに画像を読み込ませる機能
ChatGPTにプロンプトを打ち込むコツ
ChatGPTは多言語に対応している
ChatGPTの活用事例
文章を要約・校正する
プログラムのソースコードを生成する
アイデア・企画案を創り出す
ChatGPTの注意点
ハルシネーション(幻覚)が発生する場合がある
著作権を侵害するリスクがある
文章生成AIサービス「ChatGPT」とは
ChatGPTとは、2022年11月にOpenAIが公開したチャット型(対話型)の文章生成AIサービスで、無料版と有料版が提供されています。
Chat(チャット)とは「おしゃべり」「雑談」を意味する英単語で、GPTとは「Generative Pre-trained Transformer(生成型の事前にトレーニングされたトランスフォーマ)」の略です。なお、トランスフォーマとは、人間が書いたような自然な文章を生成する技術(自然言語処理の一種)で、2017年にGoogleが発表しました。
ChatGPTでは、AIがインターネット上から情報を収集し、それをつないで文章を生成する仕組みが構築され、人間と会話しているかのような自然な受け答えが可能です。
文章生成AIサービスの基盤技術「自然言語処理」
自然言語処理とは、人間が書いたり話したりする言葉をコンピュータで処理する技術で、「言語理解」と「言語生成」に大別されます。
言語理解とは、人間が作成した文章に対して何らかの処理を実施する技術で、メールの自動分類やウェブ検索などが応用例です。言語生成とは、コンピュータに文章を生成させる技術で、文章の要約や機械翻訳などが応用例として挙げられます。
従来の自然言語処理技術では、文頭から文末まで順に処理されていましたが、トランスフォーマにより、文全体を並列処理しながら単語間の比重を評価し、「文脈を加味した自然な文章」が生成さできるようになりました。
自然言語処理の「深層学習技術」による発展
自然言語処理の急速な進歩の背景には、「深層学習技術(ディープラーニング)」の発展があります。深層学習技術とは、ニューラルネットワーク(脳神経回路をモデルとしたネットワーク)を用いた機械学習技術で、有限の観測データから背後に潜む規則を見出すことができます。
深層学習を用いた自然言語処理は、事前に膨大な文章を用いて「言語モデル」と呼ばれるシステムを学習させることが特長です。現在の高性能な言語モデルは、大規模言語モデル(LLM、Large Language Models)と呼ばれ、学習に使う単語の量は数千億個以上に達します。
言語モデルは、「生成AI」の一種で、データから学習し、創造的かつ現実的な新しいアウトプットを生み出す機械学習を行います。なお、言語モデルへの指示は「プロンプト」と呼ばれ、プロンプトの内容を工夫すれば、より高い精度でタスクを実行可能です。
ChatGPTの使い方
ChatGPTのサービスは、パソコンとスマートフォン用アプリの両方で利用可能です。無料版、有料版でできることも異なるので、以下で詳しく説明します。
PC(パソコン)で利用する場合
以下は、パソコンでChatGPTを利用するための大まかな流れです。
- ブラウザでChatGPT公式サイトにアクセスし、「サインアップ」をクリックする
- メールアドレスを登録するか、外部サービス(Google、Apple、Microsoft)のアカウントを用いて、ChatGPTのアカウントを作成する
- アカウント作成が完了したら、ログインすればChatGPTを利用可能な状態になる
- ユーザーが指示(プロンプト)を入力すると、AIがインターネット上から情報を収集した上で文章を組み立てて出力する
詳細は、OpenAIの公式サイトでご確認ください。
スマホアプリで利用する場合
以下は、スマートフォン用アプリでChatGPTを利用するための大まかな流れです。
- Androidの場合はGoogle Playから、iPhoneの場合はApp Storeからアプリをダウンロードし、端末にインストールする
- パソコン版と同様にアカウント登録を実施すると、ChatGPTを利用可能な(プロンプトを入力して出力を得ることが可能な)状態になる
スマートフォン用アプリを利用すれば、外出先でも、いつでも音声でプロンプトを入力できます。長文の入力やコピー&ペーストを実行する場合は、パソコン版(ブラウザ版)のほうが使いやすいでしょう。
ChatGPTには無料版と有料版がある
ChatGPTには、無料版と有料版(Plusプランなど)があります。無料版でもひととおりの機能を使えますが、最新機能は利用できません。有料版では、最新機能を利用可能で、アウトプットされる文章のクオリティが無料版に比べて高いことが特長です。
下記に、無料版および有料版の概要(利用できることの具体例など)をまとめました。
無料版(Freeプラン)
- プロンプトを入力して、文章を生成できる
- 画像を読み込ませて、文章を生成できる
有料版
- 生産性を向上させたい個人に適したプラン
- 無料版で利用できることに加えて、以下にも対応
- 新機能へのアーリーアクセスが可能
- 特定のタスクや業界に特化したカスタムAIモデルを作成・使用できる
- テキストを読み込ませて、画像を生成できる
Teamプラン
- 複数人のチーム・組織に適したプラン
- Plusプランで利用できることに加えて、以下にも対応
- 複数人のチームで利用できる(管理用のコンソールでメンバーごとに権限を管理できる)
- 特定のタスク・業界に特化したカスタムAIモデルを作成し、チーム内で共有できる
Enterpriseプラン
- グローバル企業向けのプラン
- プロンプトを入力してから、出力されるまでの時間が短い
- Teamプランで利用できることに加えて、以下にも対応
- より長い文章を入力できる
- 強力なサポートを受けられる
※2024年9月13日時点
Plusプランの利用料金は、1ヶ月あたり20米ドルとされています。Teamプランの利用料金は、1ユーザーあたり1ヶ月25米ドル(1年分をまとめて支払う場合)、または、1ユーザーあたり1ヶ月35米ドル(毎月支払う場合)です。
Enterpriseプランの利用料金は公開されていません。詳細は、公式サイトからお問合せください。
ChatGPTの主な機能
hatGPTには、以下に示す機能があり、チームメンバーと共同で利用できます。また、テキストだけではなく、画像(写真やイラスト)を読み込ませて分析することも可能です。
- チャット内容を共有する機能
- AIに画像を読み込ませる機能
※2024年9月13日時点
それぞれに関して詳しく説明します。
チャット内容を共有する機能
ChatGPTには、AIとのチャット内容を他者と共有する機能が搭載されています。共有リンクのURLを知っている方であれば、誰でもチャット内容を閲覧可能です。
ユーザー同士が情報や意見を交換し、協力して課題を解決するプラットフォームを構築するために、ぜひご活用ください。
AIに画像を読み込ませる機能
ChatGPTは、文章だけではなく、画像による入力にも対応しています。例えば、ある写真をアップロードして、「何が写っているか」「何をしている場面なのか」をAIに説明させることが可能です。
例えば、取引先から受け取った写真画像の物体(商品・原材料・道具など)が不明な場合、ChatGPTに画像を読み込ませれば、どのようなものなのかを説明する文章が出力されます。
なお、無料版の場合、画像による入力の回数に制限があることにご留意ください。
ChatGPTにプロンプトを打ち込むコツ
ChatGPTの性能を最大限引き出すためには、入力する指示文(プロンプト)を工夫する必要があります。以下の点を意識しつつ、詳細かつ明確な文章でプロンプトを入力してください。
- 設定・条件を与える(「私は初学者です」など)
- 出力の形式を指定する(「見出し付きで」「表形式で」など)
- どのような回答が欲しいのかを具体例で示す(「SEO観点で」など)
1回だけの指示では、希望する回答を得られない場合があります。何度も対話を繰り返しながら、目的とする回答を引き出しましょう。
ChatGPTは多言語に対応している
ChatGPTは、多言語に対応しており、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語、日本語など、あらゆる言語での翻訳が可能です。
ただし、ChatGPTは主にインターネットにあるデータを学習しているため、英語のようによく使われている言語については翻訳精度が高いものの、使用頻度が低い言語では翻訳精度が下がる傾向があります。
翻訳の際に「ホームページ用の文章を日本語に翻訳して」「マーケティング文書用の文章を英語に翻訳して」のように文書の種類を指定することで、文書に応じた語句や表現が使用されます。
ChatGPTの活用事例
ChatGPTは以下に示すように多様なシーンで活用できます。
- 文章を要約・校正する
- プログラムのソースコードを生成する
- アイデア・企画案を創り出す
これまで人間が担当していたタスクの一部をAIに任せれば、業務効率化や生産性向上を実現できるでしょう。それぞれを詳しく説明します。
文章を要約・校正する
ChatGPTの入力欄に、「以下の文章を要約(校正)してください」というプロンプトとともに、既存の文章を入力します。会議の発言録が要約されたり、誤字脱字や表記ゆれの修正が実施された校正済みの文章が生成されたりします。
日本語の文章だけでなく、英文の要約・校正も可能なので、ぜひご活用ください。
プログラムのソースコードを生成する
ChatGPTでは、各種プログラミング言語を用いたソースコードも生成できます。ただし、1回の指示で完成するとは限りません。対話を繰り返しながら、最適なコードを作りましょう。
また、ソフトウェアにバグがある場合は、ソースコードを読み込ませて不具合の原因を突き止めることも可能です。
アイデア・企画案を創り出す
ChatGPTは、アイデア・企画案の創出にも役立ちます。例えば、「売上増を実現するためのキャンペーン案」「Z世代に好まれる企画案」などを、AIに回答させることが可能です。
迅速に複数のアイデア・企画案を創出でき、業務効率化や生産性向上につながるでしょう。
ChatGPTの注意点
ChatGPTは便利なサービスであり、業務効率化や生産性向上に役立ちます。ただし、以下に示す点に注意しなければいけません。
- ハルシネーション(幻覚)が発生する場合がある
- 著作権を侵害するリスクがある
事実と異なる情報や、著作権を侵害する文章が出力されたりする状況に備えて、人間がチェックする体制を構築しておきましょう。
ハルシネーション(幻覚)が発生する場合がある
ChatGPTは、人間と異なり、言葉の意味を正確に理解して文章を生成しているわけではありません。ある単語の次に来るであろう単語を統計的に選定して組み合わせているため、質問に対して事実と異なる情報を回答する場合があるのでご注意ください。
この「事実と異なる文章を生成する現象」は、「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれます。健康・法律・金融など、専門的な分野・領域では、誤った情報提供が深刻な結果をもたらす可能性があるので、慎重にChatGPTを利用しましょう。
著作権を侵害するリスクがある
ChatGPTは、学習元のテキストデータに基づいて文章を生成するため、生成された文章が既存の文章と類似する場合があります。
また、画像については特に、他人の著作物を読み込ませることは避けましょう。
他者の著作権を侵害しないように、生成された文章を人間がチェックしなければいけません。あくまでもサポートツールとして活用するべきであり、ChatGPTへの過度な依存は危険です。
詳細は、公式サイトの利用規約をご確認ください。
「AI・業務自動化展」でChatGPT関連のサービス・ソリューションを探そう
RX Japanが主催する展示会「Japan DX Week」内の「AI・業務自動化展」では、ChatGPTに関連したサービス・ソリューションが数多く展示されます。
企業でChatGPTの活用を担当している方は、ご来場の上、情報を収集してはいかがでしょうか。また、ChatGPTに関連したサービス・ソリューションを提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。
ChatGPTを活用して業務効率化・生産性向上の実現を!
ChatGPTを利用すれば、業務の効率化や生産性の向上を期待できます。ただし、ハルシネーションが発生する可能性や、著作権を侵害するリスクがあるので注意しましょう。
なお、ChatGPTに関連したサービス・ソリューションをお探しの場合は、RX Japanが主催する展示会「Japan DX Week」内の「AI・業務自動化展」にご来場の上、情報を収集してはいかがでしょうか。
また、ChatGPTに関連したサービス・ソリューションを提供している企業の場合は、ぜひ出展をご検討ください。
「Japan DX Week」詳細はこちら
▶監修:大岩俊之氏
プロフィール:家電製品総合アドバイザー
理系出身の元営業マン。大学ではAI(人工知能)を学びITエンジニアとして就職し、のちに電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。